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脳梗塞にロキソニンをすすめる国、日本 011

  • 執筆者の写真: Shimpei Aoyama
    Shimpei Aoyama
  • 2017年2月17日
  • 読了時間: 3分

少し極端なタイトルにしてしまいましたが、タイトルにこのように記載したのは、今の薬学教育のままでは脳梗塞にロキソニン(ロキソプロフェン)を勧めてしまう可能性があるということです。

少し次の例を考えてみてください。

あなたはドラッグ併設型の薬局で働いている薬剤師です。

30代男性が薬局にやってきました。

男性『何かおすすめの頭痛薬はある?』

薬剤師『ロキソニンはどうですか。最近よく売れていますよ。』

男性『それはよく効くの?』

薬剤師『効きますよ。喘息や胃潰瘍はありませんか。』

男性『ないです。』

薬剤師『わかりました。この薬の使い方は1回1錠.....』

よくあるシチュエーションだと思います。

頭痛と本人がいったから、頭痛薬をすすめた。

風邪と本人がいったから、風邪薬をすすめた。

間違えではないような気がしますが、これは大きな間違いにつながる可能性があり、危険です。

なぜなら、頭痛といえどそれがただの頭痛(緊張性頭痛や偏頭痛など)とは限らないからです。

表題のように、脳梗塞やTIA,の場合もありますし、それ以外にも感染症 (髄膜炎など)や脳腫瘍の場合もあります。

したがって、患者本人が頭痛といって頭痛薬をすすめても大きな間違いにつながる可能性があります。

そこで重要な考えが、Differential diagnosisという考え方で、その症状から考えられる重症疾患を除外する考え方が必要になります。

それは医師の診断に値するのではないかと思うかもしれませんが、診断をするわけではなく、あくまで重症な疾患の可能性のある症状を持つ場合のみ、医師へ受診を推奨するだけです。よって、医師の領域を超えない、医師と薬剤師の境界領域に当たると私は考えているので、薬剤師の領域といえるでしょう。

では、実際に何をどうやって確認するのか、今回のケースをもとに考えてみたいと思います。

確認すべきだと言われている項目の例を下に記載します。

  • 熱があるかないか、

  • 視野への影響はないか

  • 意識や精神状態の変化はないか

  • 片側にしびれはないか

  • 頭痛の始まりが40才以上になってから

  • 強い肩こりのような痛みがないか

  • これまでとは異なる強さや頻度の頭痛ではないか、

  • NSAIDsやアセトアミノフェンなどの高頻度の使用がないか、な

これらの質問は、上にあげたように、脳梗塞や髄膜炎などすぐに医師に受診する必要のある疾患と区別するための質問であり、非常に重要であり、これらは、Red Flagと呼ばれています。

カナダにおいて、薬剤師はOTCを勧める前に、必ずこのRed Flagを確認した上でOTCで治療しても問題ないと判断してから頭痛薬をすすめるので、実はその頭痛は脳梗塞から来ていて手遅れだったということが少ないシステムになっています。

今回は、頭痛で患者が来るというシチュエーションでしたが、他のいかなるシチュエーション (例えば、気持ちが悪い、胃が痛い、便秘がひどい、下痢が止まらない、ふらふらする、咳がとまらない、腰が痛いなど) に対応できるレベルを薬剤師に求めています。

これが薬剤師がカバーするMinor Ailmentsの領域であり、それがゆえ、スーパージェネラリストと呼ばれる理由なのです。

私自身、日本の薬学教育では一切勉強していない領域だったので、面をくらいましたし、何も考えずに頭痛薬をすすめてしまった経験もありますが、教育をこれまで受けていないのなら、ただこれから勉強していけばいい話です。遅すぎるということはありません。

今後もできるだけ毎日アップデートして情報を共有していきますので、少しでも皆さんの実践に役立てば幸いです。

喫煙歴30年以上(1日2箱)


 
 
 

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